喉の違和感やつかえ感、もしかして甲状腺のせいかも?

喉の違和感、つかえ感には甲状腺が関係している?

甲状腺の役割

 

「喉に違和感がある」「何かが詰まっている感じがする」という症状を感じる方は少なくありません。これらの症状が一時的であれば心配いりませんが、慢性的に続く場合、背後に何らかの病気が潜んでいる可能性があります。その一つとして、甲状腺の異常が挙げられます。

甲状腺は喉の下部、気管の前面に位置しており、蝶のような形をした小さな器官です。この甲状腺は、体の代謝をコントロールするホルモンを生成・分泌しており、体内のエネルギー消費、体温調整、心拍数、消化機能などに大きな役割を果たしています。

甲状腺が腫れたり、結節(しこり)ができたりすることで、喉の周囲に圧迫感や違和感を感じることがあります。また、甲状腺ホルモンの異常が体全体にさまざまな影響を与えるため、喉の不快感が現れることも少なくありません。

たとえるなら、甲状腺は「体のエネルギー工場のスイッチ」のようなものです。スイッチがうまく働かないと、体のあちこちに影響が出て、喉に違和感が現れることがあるのです。

発症数が多い、甲状腺乳頭がんとは?

甲状腺の病気と喉の症状

甲状腺が原因で喉に違和感が出る病気はいくつかあります。ここでは代表的なものを紹介します。

甲状腺腫

甲状腺腫は、甲状腺が大きくなってしまう状態です。甲状腺が大きくなると、喉を圧迫して「何かが詰まっている感じ」がすることがあります。まるで、首に何か巻きつけられているように感じることもあります。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

この病気は、甲状腺が働きすぎる状態で、体のエネルギーがオーバーヒートしてしまいます。その結果、甲状腺が腫れて喉に違和感が出たり、疲れやすくなったりします。
たとえるなら、エンジンがフルスピードで回りすぎている車のようなイメージです。

甲状腺機能低下症

甲状腺が十分に働かないと、甲状腺機能低下症という病気になります。この場合も、甲状腺の働きが悪くなり、喉に違和感が出たり、疲れやすくなったりします。
たとえるなら、スイッチがオフのままで、エンジンがうまくかからない状態です。

喉の違和感やつかえ感が続く場合は?

喉の違和感が続く場合は、早めに医師の診察を受けることが大切です。以下のような場合、甲状腺の問題が原因である可能性が考えられます。

1. 違和感が長期間続く
喉の違和感やつかえ感が数日から数週間にわたって続く場合、甲状腺の異常が原因である可能性があります。特に、腫れやしこりを感じる場合は、医療機関での精密検査を受けることをお勧めします。

2. 飲み込みや呼吸がしづらい
甲状腺が腫れていると、気管や食道を圧迫し、飲み込みづらさや呼吸のしづらさを感じることがあります。こうした症状が現れた場合、特に早急な対応が求められます。

3. 他の全身症状がある場合
喉の違和感に加えて、疲れやすさ、動悸、体重の急激な変化、肌や髪の乾燥などの全身症状がある場合は、甲状腺ホルモンのバランスが崩れている可能性があります。こうした全身的な症状も併発している場合は、甲状腺機能に異常がないか検査を受けることが重要です。

当院での甲状腺の診療

当院では、甲状腺に関する検査や治療を専門的に行っています。喉の違和感やつかえ感が気になる方には、甲状腺のエコー検査や血液検査を行い、問題がないかを調べます。もし甲状腺に問題があった場合は、それに合った治療を提案します。

1. 詳細な診察とエコー検査
当院では、甲状腺の状態を詳細に診察し、必要に応じてエコー検査を行います。エコー検査は、甲状腺の腫れや結節の有無を確認するための重要な検査であり、痛みもなく短時間で行うことができます。これにより、甲状腺の異常の有無を正確に把握します。

2. 血液検査による甲状腺ホルモンの評価
喉の違和感がある場合、甲状腺ホルモンのバランスを確認するために血液検査を行います。甲状腺ホルモン(T3、T4)や甲状腺刺激ホルモン(TSH)の数値を確認することで、甲状腺機能の状態を評価します。これにより、甲状腺機能亢進症や機能低下症の診断が可能です。

3. 必要に応じた治療の提供
甲状腺の異常が確認された場合、患者様一人ひとりに合わせた治療計画を提供します。甲状腺機能低下症や亢進症がある場合は、ホルモン補充療法や抗甲状腺薬による治療を行い、甲状腺結節や腫瘍が疑われる場合には、さらなる検査や手術が必要になることもあります。

4. 継続的なフォローアップ
甲状腺の異常は、定期的なフォローアップが重要です。当院では、定期的に血液検査やエコー検査を行い、治療の効果や甲状腺の状態をモニタリングします。患者様が安心して治療を続けられるよう、継続的なサポートを提供しています。

まとめ

喉の違和感やつかえ感が続く場合、その原因として甲状腺の異常が考えられます。甲状腺は体全体の代謝をコントロールする重要な器官であり、その機能が乱れることで喉に不快感を生じることがあります。甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺結節など、さまざまな甲状腺の病気が喉の症状を引き起こす可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。

当院では、甲状腺に関する専門的な診察と治療を提供し、患者様一人ひとりに合わせた総合的なサポートを行っています。喉の違和感が気になる場合は、ぜひ一度ご相談ください。早期の診断と適切な治療を通じて、健康を取り戻すお手伝いをいたします。

---

監修者プロフィール
**院

長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)**
**医学博士 (東京大学)**

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

**資格・専門性**
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
- 日本内科学会 総合内科専門医

豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患における最新の治療を提供しています。

TOPへ