甲状腺とリンパ節の腫れ

はじめに

甲状腺疾患とリンパ節の腫れは、体内の異常を知らせるサインの一つです。首元のしこりや腫れに気づいた場合、多くの方が不安を感じるでしょう。特に、甲状腺疾患に関連するリンパ節の腫れは、早期に原因を特定し、適切な対応を行うことが重要です。本ページでは、甲状腺疾患によるリンパ節の腫れの原因や診断方法、治療法について詳しく解説し、当院で受診する際のサポート内容についてもご紹介します。
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甲状腺とリンパ節の腫れの関係

甲状腺とリンパ節の腫れには密接な関係があります。リンパ節は、体の免疫システムを構成する重要な部分であり、感染や炎症、悪性腫瘍などに対して反応し、腫れを引き起こすことがあります。甲状腺の近くに位置するリンパ節が腫れることは、甲状腺自体に異常が生じている場合に関連することが多いです。主に以下のような要因が考えられます。

甲状腺炎によるリンパ節の腫れ

甲状腺炎は、甲状腺が炎症を起こす疾患で、感染や自己免疫疾患が原因となります。甲状腺炎の一種である橋本病や亜急性甲状腺炎などが、甲状腺とリンパ節の腫れを引き起こすことがあります。これらの病態では、甲状腺の腫れや痛みが見られ、首のリンパ節も反応して腫れることがあります。炎症が原因であれば、腫れは一時的であり、治療により軽減します。

甲状腺がんとリンパ節の腫れ

一方、リンパ節の腫れは、甲状腺がんの進行に伴って見られることもあります。甲状腺がんが進行すると、がん細胞がリンパ節に転移し、リンパ節が腫れることがあります。特に、乳頭がんや未分化がんなどの甲状腺がんでは、リンパ節の腫れが重要な診断指標となります。がんによるリンパ節の腫れは、しこりのような硬さを感じることが多く、早期発見と治療が必要です。

良性疾患とリンパ節の腫れ

リンパ節の腫れが必ずしも悪性疾患を示すわけではなく、良性の甲状腺腫や甲状腺結節が原因となることもあります。これらの疾患でもリンパ節が腫れることがありますが、多くの場合は命にかかわるものではありません。しかし、良性の腫瘍であっても、大きくなったり、圧迫感を伴ったりする場合は、治療や経過観察が必要です。

甲状腺疾患によるリンパ節の腫れの診断

甲状腺疾患によるリンパ節の腫れが疑われる場合、正確な診断を行うためには、専門的な検査が不可欠です。当院では、甲状腺やリンパ節の状態を詳しく調べるためのさまざまな検査を提供しています。ここでは、主な診断方法について説明します。

血液検査

甲状腺機能の異常や炎症の有無を調べるために、血液検査が行われます。特に、甲状腺ホルモン(T3、T4)や甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値を確認し、甲状腺の機能状態を評価します。また、自己抗体の検査を通じて、橋本病やバセドウ病などの自己免疫疾患が原因であるかを確認することができます。

超音波検査(エコー)

超音波検査は、甲状腺やリンパ節の状態を可視化するための非侵襲的な検査です。腫れやしこりがどのような状態にあるか、また甲状腺自体や周囲の組織に異常があるかを詳細に調べることができます。リンパ節の腫れが疑われる場合には、この検査で異常の有無を確認し、さらなる検査が必要かどうかを判断します。

細胞診検査

腫れが大きい、または超音波検査で異常が見つかった場合、細胞診検査が行われることがあります。これは、細い針を使って腫れた部分から細胞を採取し、悪性かどうかを確認する検査です。特にがんの疑いがある場合には、早期発見と正確な診断に欠かせない検査です。(現在細胞診が必要な患者様におかれましては総合病院に速やかにご紹介しております。)

甲状腺とリンパ節の腫れの治療法

甲状腺疾患やリンパ節の腫れの治療法は、原因に応じて異なります。良性の腫瘍や一時的な炎症であれば、薬物療法や経過観察で治癒することが多いですが、悪性の場合は外科的治療が必要になることもあります。ここでは、主な治療法について説明します。

薬物療法

甲状腺機能の異常や炎症が原因の場合、抗炎症薬やホルモン補充療法が行われます。甲状腺ホルモンのバランスを整えることで、リンパ節の腫れも改善することが期待できます。橋本病や亜急性甲状腺炎では、炎症を抑える薬を使用し、症状が緩和されることが多いです。

手術療法

甲状腺がんが原因でリンパ節が腫れている場合、外科的手術が必要になることがあります。甲状腺がんの手術では、甲状腺の一部または全てを摘出する場合があり、がんが転移したリンパ節も同時に摘出されることがあります。手術後は、必要に応じて甲状腺ホルモンの補充療法が行われ、定期的なフォローアップが求められます。

経過観察

良性の腫れや軽度の炎症の場合、治療を行わずに経過観察をすることもあります。特に、甲状腺結節や一時的なリンパ節の腫れは、自然に改善することもあります。ただし、定期的な診察を通じて腫れの進行や新たな症状がないかを確認することが重要です。

当院でのサポート

 

蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニックでは、甲状腺疾患とリンパ節の腫れに関する専門的な診断と治療を提供しています。私たちは、最新の医療技術を駆使し、個々の患者さんの症状やニーズに合わせた最適な治療プランを作成します。

当院では、超音波検査や血液検査、細胞診検査を用いて、正確な診断を行います。さらに、必要に応じて専門医との連携のもと、迅速に手術や放射線治療の手配を進めることが可能です。患者さんの健康状態やライフスタイルに応じた治療方針を決定し、長期的なフォローアップも丁寧に行っています。

もし甲状腺やリンパ節に腫れや違和感を感じた場合は、早めの受診をお勧めします。放置すると症状が進行する可能性があるため、専門医の診察を受けることで、安心して治療を進めることができます。私たちは、患者さん

一人ひとりに寄り添い、最善の治療を提供することをお約束します。

監修者プロフィール

院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性:
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
日本内科学会 総合内科専門医
豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患の診断と治療を提供しています。

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