甲状腺と運動

はじめに

甲状腺は、体の代謝、体温調節、エネルギーの生成など、さまざまな重要な役割を担うホルモンを分泌する内分泌腺です。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されたり、逆に不足したりすることで、体調や生活の質に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に、日常生活の中での運動習慣は、甲状腺疾患を持つ方にとって大きな関心事となります。適切な運動は、体調管理や症状の軽減に役立つ一方で、不適切な運動は体への負担を増大させ、健康状態を悪化させるリスクがあります。

このページでは、甲状腺疾患と運動の関係、各疾患に応じた適切な運動方法、そして注意すべきポイントについて詳しく解説します。また、蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニックでは、甲状腺疾患を持つ方が無理なく運動を取り入れ、健康を維持できるようサポートを提供しています。医療の観点から、安全で効果的な運動習慣を身につけるために、当院のサポートをご活用ください。
甲状腺疾患と仕事の両立:症状の理解と働き方の工夫

甲状腺機能と運動の関係

甲状腺ホルモンは、体のエネルギー代謝や体温調節に関与するため、ホルモンの分泌量が変動することで体にさまざまな症状が現れることがあります。甲状腺機能が低下する甲状腺機能低下症や、逆にホルモンが過剰に分泌される甲状腺機能亢進症では、それぞれ異なる運動上の課題が発生します。

甲状腺機能低下症と運動

甲状腺機能低下症は、主に甲状腺ホルモンの分泌不足によって引き起こされ、エネルギー代謝が低下します。その結果、疲れやすくなり、体が重く感じることが多くなります。体温が低下し、冷えやすくなることや、筋肉のこわばりや関節の痛みを訴える方も少なくありません。そのため、甲状腺機能低下症の方にとって運動は、慎重に行う必要がありますが、軽い運動を続けることで症状の改善が期待できます。

適切な運動としては、ウォーキングやストレッチ、ヨガ、軽い筋トレなどが挙げられます。これらの運動は、エネルギー消費を増やし、体重管理にも役立つため、筋力維持や代謝の改善に貢献します。運動を行う際は、無理をせず、徐々にペースを上げることが大切です。また、運動後の疲労感が極端に強い場合や、体調が悪化した場合は運動を中止し、医師に相談しましょう。

甲状腺機能亢進症と運動

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、エネルギー代謝が過剰に活発になる状態です。これにより、動悸や体重減少、筋力低下、神経過敏などの症状が現れることがあります。特に、運動によって心拍数が急激に上がると、動悸や息切れ、過度な疲労感を引き起こすリスクが高くなります。そのため、甲状腺機能亢進症の方は、過度な運動を避け、心拍数を穏やかに保つような運動を選ぶことが推奨されます。

リラクゼーション系の運動、例えばヨガや深呼吸法、軽いストレッチが心身のリラックスに役立ちます。心拍数を安定させることが、症状の緩和に貢献するため、こうした運動は特に有効です。また、過剰な発汗を避けるため、運動中は水分補給を十分に行うことが重要です。運動中に体調が悪化した場合は、すぐに中止し、医師に相談してください。

甲状腺疾患を持つ方に推奨される運動方法

甲状腺疾患を持つ方にとって、適切な運動は体調を安定させ、症状の軽減や生活の質向上に貢献します。ただし、個々の体調や症状に応じて運動の強度や種類を選ぶことが必要です。ここでは、甲状腺疾患を持つ方が安心して取り組める運動方法と、その際に気をつけるべきポイントを紹介します。

低強度の有酸素運動

ウォーキングや軽いジョギングなど、心拍数を適度に上げる有酸素運動は、血流を改善し、代謝を促進する効果があります。ただし、甲状腺機能に問題がある場合、過度な運動は避け、無理のない範囲で行うことが重要です。ウォーキングは、特に体に負担が少ないため、毎日30分程度から始めるのが良いでしょう。

筋力トレーニング

筋力低下が見られる甲状腺疾患患者さんには、軽い筋力トレーニングが効果的です。ダンベルや自重を使ったエクササイズは、筋力の維持や体力の向上に役立ちます。ただし、過剰な重量を扱うトレーニングは控え、筋肉への負荷が軽いものを選びましょう。

ヨガやストレッチ

ヨガやストレッチは、体の柔軟性を高め、筋肉の緊張を緩和するだけでなく、心身のリラックスにも効果的です。特に甲状腺機能亢進症の方にとっては、心拍数を安定させる効果が期待できるため、ストレスを軽減する手段として有効です。リラックスを目的としたヨガのポーズや呼吸法を取り入れることで、日常の疲労を軽減し、体調を安定させることができます。

運動時に注意すべきポイント

甲状腺疾患を持つ方が運動を行う際、いくつかのポイントに注意する必要があります。

  1. 体調を優先する:運動中に少しでも体調の悪化を感じた場合は、すぐに中止しましょう。特に動悸や息切れ、めまいが出た場合は注意が必要です。
  2. こまめな水分補給:甲状腺機能亢進症の方は、過度な発汗に注意し、運動中や後には十分な水分補給を行うことが重要です。
  3. 無理のない範囲で行う:運動を始める前に、必ず医師のアドバイスを受け、適切な運動強度を確認しましょう。特に甲状腺機能亢進症の方は、心拍数が上がりすぎないよう注意する必要があります。

当院でのサポート

 

蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニックでは、甲状腺疾患を持つ患者さんに対して、専門的な医療サポートと運動アドバイスを提供しています。個々の患者さんの症状や生活スタイルに合わせた運動計画を作成し、体調の変化に応じて柔軟にサポートします。また、定期的な血液検査やホルモン値のモニタリングを行い、運動が体に及ぼす影響を適切に評価します。

当院の医師は、甲状腺疾患に精通しており、患者さん一人ひとりに合った無理のない運動方法を提案します。体調管理の一環として、運動療法の導入を希望する患者さんは、ぜひ当院の専門医にご相談ください。私たちは、患者さんが健康的な生活を送るために、最適な運動プランを提供することをお約束します。

監修者プロフィール

院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性:
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
日本内科学会 総合内科専門医
豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患の診断と治療を提供しています。

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