はじめに:甲状腺ホルモンとメンタルヘルスの関係
甲状腺は体の代謝を調整する重要な臓器であり、甲状腺ホルモンが全身に与える影響は計り知れません。しかし、甲状腺ホルモンが精神的な健康、特に不安やうつなどのメンタルヘルスに与える影響については、あまり知られていないかもしれません。甲状腺ホルモンの過剰または不足によって、心身に大きな影響が生じることがあります。
本記事では、甲状腺ホルモンとメンタルヘルスの関連について、どのような症状が現れるか、そしてその治療について詳しく解説いたします。また、当院で提供しているサポートについてもご紹介しますので、甲状腺とメンタルの問題でお悩みの方はぜひお読みください。
甲状腺機能異常がメンタルヘルスに与える影響
甲状腺ホルモンの異常がメンタルヘルスにどのように影響を与えるかについて理解することは、正確な診断と治療に不可欠です。
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甲状腺機能亢進症とメンタルヘルス:
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで起こります。この状態では、体内の代謝が活発になりすぎ、神経系にも影響を及ぼします。その結果、以下のようなメンタルヘルスの問題が生じることがあります。
・不安やパニック症状
・イライラや集中力の低下
・睡眠障害
・気分の変動や感情のコントロールが難しくなることがあります -
甲状腺機能低下症とメンタルヘルス:
甲状腺ホルモンが不足する甲状腺機能低下症は、体内の代謝が低下し、エネルギー不足が引き起こされます。この状態が長期間続くと、以下のようなメンタルヘルスの問題が発生することがあります。
・うつ状態、気分の落ち込み
・倦怠感や無気力感
・集中力の低下
・物忘れや認知機能の低下
甲状腺機能の異常がメンタルヘルスに影響を与えるため、体調不良だけでなく、精神的な症状が続く場合は、甲状腺の検査が必要です。
不安やうつに関連する具体的な症状
甲状腺疾患とメンタルヘルスが関連する場合、次のような具体的な症状が見られることが多いです。
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甲状腺機能亢進症の主な症状:
・過剰な不安感や緊張感
・パニック発作のような強い心拍数の増加や動悸
・睡眠が浅く、夜中に目が覚めやすい
・集中力が低下し、感情のコントロールが難しい
・急激な体重減少や疲れやすさも併発することがあります -
甲状腺機能低下症の主な症状:
・持続的な気分の落ち込みやうつ状態
・理由のない倦怠感、無気力感
・朝起きるのが困難で、一日中眠気を感じる
・日常の作業に対する意欲が減退し、何事も億劫になる
・記憶力や判断力の低下を感じる
これらの症状は、他の精神疾患とも共通しているため、自己診断で解決しようとせず、医師による診断が不可欠です。
甲状腺疾患によるメンタルヘルスの診断と治療
甲状腺ホルモンの異常によるメンタルヘルス問題が疑われる場合、当院では以下のような診断と治療を行っています。
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血液検査による甲状腺ホルモン測定:
TSH(甲状腺刺激ホルモン)やT3、T4の値を測定し、甲状腺機能の状態を確認します。甲状腺ホルモンのバランスが崩れている場合、早期に発見し、適切な治療を行います。 -
問診と心理状態の評価:
精神科医と協力し、メンタルヘルスの問題に関する問診や心理状態の評価も行い、甲状腺の機能と精神症状の関連を総合的に判断します。患者様の生活状況やストレス要因についても丁寧にヒアリングを行い、全体的な健康状態を把握します。 -
治療方法:
甲状腺ホルモンの異常が原因である場合、ホルモン補充療法(チラージン)や抗甲状腺薬(メルカゾール)を用いて、ホルモンバランスを整えます。治療を通じてメンタルヘルスの改善が見込まれるため、精神的な症状が軽減するケースが多いです。
当院でのサポート
当院「蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニック」では、甲状腺疾患によるメンタルヘルスの問題に対して、患者様一人ひとりに合わせた治療とサポートを提供しています。甲状腺とメンタルヘルスの関連でお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。専門的な診断と治療で、甲状腺疾患による精神的な症状の改善を目指します。
監修者プロフィール
院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)
山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。
資格・専門性
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
- 日本内科学会 総合内科専門医
豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患の診断と治療を提供しています。