甲状腺の検査頻度について

はじめに:甲状腺検査の必要性とその目的

甲状腺は、全身の代謝やホルモンバランスを調整する重要な器官であり、その機能が正常でないと様々な健康問題を引き起こします。甲状腺の病気は早期発見と適切な管理が重要であり、定期的な検査が欠かせません。しかし、どのくらいの頻度で検査を行うべきかは、患者さんの症状やリスク要因によって異なります。

この記事では、甲状腺検査の頻度について解説し、どのような状況で検査が必要になるのか、また当院でのサポート体制についてもご紹介します。検査を適切なタイミングで行うことで、病気の早期発見や適切な治療につながり、健康を維持することが可能です。

【動画でわかる甲状腺】甲状腺に関するお役立ち情報をショート動画としてまとめました。

甲状腺検査はどのくらいの頻度で行うべきか?

甲状腺の検査頻度は、患者さんの状態によって異なります。特に症状がある場合や過去に甲状腺疾患の診断を受けた場合、定期的な検査が推奨されます。一般的な検査頻度の目安は以下の通りです。

健康な人の検査頻度

健康な人で、特に甲状腺に問題が見られない場合、通常は年に1回の健康診断の中で甲状腺の血液検査を行うことが推奨されます。特に家族に甲状腺疾患の既往歴がある場合や、自己免疫疾患が疑われる場合は、定期的な検査で早期発見を心がけることが重要です。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)患者の検査頻度

バセドウ病などの甲状腺機能亢進症と診断された場合、治療中は頻繁な検査が必要です。メルカゾール治療開始後の最初の3ヶ月は、2週間に一度の頻度で血液検査を行い、治療の効果を確認します。病状が安定してきたら、1~2ヶ月ごとに検査の頻度を減らすことが可能です。

甲状腺機能低下症(橋本病)患者の検査頻度

橋本病などの甲状腺機能低下症の患者も定期的な検査が必要です。治療開始直後は1ヶ月に1度の検査が推奨されますが、ホルモンバランスが安定すれば1~3か月に1回の検査で十分です。特にホルモン補充療法を受けている場合は、血中ホルモンのレベルを維持するために定期的なモニタリングが必要です。

妊娠中の甲状腺検査

妊娠中は甲状腺ホルモンのバランスが変化しやすいため、特に注意が必要です。妊娠前に甲状腺疾患がない場合でも、妊娠中期と後期には少なくとも1回は甲状腺機能のチェックを行うことが推奨されます。妊娠前から甲状腺疾患がある場合は、毎月のように頻繁な検査が必要になることがあります。
厚生労働省 - 甲状腺の病気に関する情報
日本甲状腺学会 - 甲状腺疾患について
日本内分泌学会 - 甲状腺疾患について

甲状腺検査の種類とその意義

甲状腺検査は、主に血液検査と画像検査に分けられます。これらの検査を通じて、甲状腺ホルモンの分泌状況や甲状腺の構造的異常を確認することができます。

血液検査

甲状腺の機能を評価するための最も基本的な検査が血液検査です。具体的には、以下のようなホルモンや抗体を測定します。

  • TSH(甲状腺刺激ホルモン):甲状腺の働きを調整するホルモンで、TSHの値が高いと甲状腺機能低下症、低いと甲状腺機能亢進症が疑われます。
  • T3、T4:これらは甲状腺が直接分泌するホルモンで、体の代謝に重要な役割を果たします。
  • 抗TPO抗体:自己免疫疾患である橋本病やバセドウ病を診断するために用いられます。

これらの値を定期的にチェックすることで、甲状腺機能の変動を早期に発見し、適切な治療を行うことができます。

超音波検査

超音波検査は、甲状腺の構造や大きさを確認するために行われます。血液検査で異常が見られた場合や、首に腫れやしこりがある場合に実施されることが多いです。この検査により、甲状腺に結節や腫瘍がないかを確認し、悪性の可能性がある場合はさらに詳しい検査が必要になります。

甲状腺シンチグラフィー

甲状腺シンチグラフィーは、放射性ヨウ素やテクネチウムを使用して甲状腺の機能を可視化する検査です。特にバセドウ病や甲状腺腫瘍の診断に役立ちます。甲状腺が過剰にホルモンを分泌しているか、または機能低下があるかを調べるための重要な検査です。

針生検

甲状腺にしこりや腫瘍が見つかった場合、その性質を調べるために針生検が行われることがあります。これは、しこりから細胞を採取して、良性か悪性かを判断するための検査です。甲状腺癌の早期発見に繋がる重要な検査の一つです。

甲状腺検査が必要なタイミング

甲状腺検査が必要なタイミングは、患者さんの状況やリスク要因に基づいて異なります。次に、検査が必要なタイミングとその理由について説明します。

甲状腺疾患の家族歴がある場合

甲状腺疾患は家族性の要素が強いため、家族に甲状腺機能亢進症や機能低下症の既往がある場合、特に注意が必要です。こうした家族歴を持つ場合、年に1度の定期検査が推奨されます。特に症状が現れなくても、早期に異常を発見することで、重篤な合併症を予防することができます。

体調の変化がある場合

体重の急激な変化、異常な疲労感、心拍数の増加、寒がりやすくなった、または汗をかきやすくなったといった症状は、甲状腺の問題が原因である可能性があります。これらの症状がある場合、速やかに医師に相談し、甲状腺検査を受けることが重要です。

妊娠を計画している場合

妊娠を計画している女性は、妊娠前に甲状腺の機能を確認することが推奨されます。甲状腺ホルモンは胎児の成長と発育に重要な役割を果たすため、妊娠中に甲状腺機能が正常であるかどうかを確認することが母体と胎児の健康を守るために重要です。

既に甲状腺疾患を持っている場合

既に甲状腺疾患の診断を受けている患者さんは、定期的なフォローアップが必要です。ホルモンバ

ランスが乱れると、症状が悪化したり、新たな合併症が発生する可能性があります。医師の指示に従い、定期的に検査を受けることが健康維持の鍵です。

当院でのサポート

 

蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニックでは、甲状腺疾患の診断と治療を専門としています。当院では、患者様一人ひとりに最適な検査と治療計画を提供し、健康管理をサポートしています。

甲状腺当日検査機器を使用した検査と診断

当院では甲状腺当日検査可能な血液検査、超音波検査など、患者様の状態に応じて最適な検査を実施します。検査結果に基づき、患者様に分かりやすく丁寧に説明を行い、安心して治療を受けていただけるよう努めています。

定期的なフォローアップ

甲状腺疾患の管理には定期的な検査とフォローアップが欠かせません。当院では、患者様の症状や検査結果に応じて適切な治療計画を提供し、長期的な健康管理をサポートしています。特に、甲状腺ホルモン補充療法を受けている方や、バセドウ病治療中の方には、定期的な診察と検査を通じて、治療効果を確認しながらフォローアップを行います。

信頼できる医療連携体制

当院では、必要に応じて専門医療機関との連携も行っており、甲状腺疾患の手術や高度な検査が必要な場合には、速やかに対応いたします。患者様が最適な治療を受けられるよう、綿密なフォローアップと連携体制を整えています。

オンライン診療は行っていません

当院では、患者様との直接的なコミュニケーションを重視しており、オンライン診療は現在行っておりません。しかし、対面での診察を通じて、患者様一人ひとりの状態を細かく把握し、最適な治療を提供いたします。

甲状腺に関する不安や疑問がある方は、ぜひ当院にご相談ください。早期発見と定期的なフォローアップが、健康を維持するための最良の方法です。ご予約やお問い合わせは、お電話または当院受付までお気軽にどうぞ。


監修者プロフィール 院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
日本内科学会 総合内科専門医
豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患の診断と治療を提供しています。

TOPへ