甲状腺機能亢進症と動悸の原因:症状の理解と当院でのサポート

はじめに:甲状腺機能亢進症と動悸の関係とは?

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、体全体の代謝が異常に高まる状態を指します。この疾患は、体のあらゆる臓器や機能に影響を与え、その中でも特に心臓に大きな負担をかけます。心拍数が上昇し、動悸や息切れを感じることが多くなるため、日常生活に支障をきたすことがあります。

動悸は、心臓が普段よりも強く、速く、または不規則に鼓動している状態を指し、甲状腺機能亢進症の典型的な症状の一つです。特に、安静時でも心臓がドキドキする、脈が速くなる、あるいは胸の不快感を感じる場合は、甲状腺機能亢進症が原因である可能性があります。

本記事では、甲状腺機能亢進症が動悸を引き起こすメカニズムや具体的な症状、そしてその対処法について詳しく解説します。また、当院でのサポート体制についても紹介いたしますので、症状に悩む方はぜひご一読ください。

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甲状腺ホルモンと心臓の関係:動悸が起こるメカニズム

甲状腺ホルモンは、体全体の代謝を調整する重要な役割を果たしており、そのバランスが崩れると心臓にも大きな影響を与えます。甲状腺機能亢進症では、過剰な甲状腺ホルモンが分泌されることで、心臓が常に活発に働き、動悸が起こりやすくなります。

  • 心拍数の増加
    甲状腺ホルモン(T3、T4)は、心臓の交感神経系に作用し、心拍数を増加させます。その結果、心臓は通常よりも多くの血液を送り出すようになり、心拍数が上昇します。この状態が続くと、動悸や息切れを感じることが多くなります。

  • 心臓の収縮力の増強
    甲状腺ホルモンは、心筋の収縮力を高める作用もあります。これにより、心臓は一回の収縮でより多くの血液を送り出すことができますが、同時に心臓にかかる負担も増大します。結果として、動悸や胸の圧迫感を感じることがあります。

  • 不整脈のリスク
    甲状腺機能亢進症では、心房細動などの不整脈が発生しやすくなります。心房細動は、心臓の上部(心房)が不規則に収縮する状態で、脈拍が不安定になり、動悸を強く感じることがあります。特に高齢者や心臓病の既往がある方では、心房細動が血栓の形成や脳梗塞のリスクを高めるため、注意が必要です。

甲状腺ホルモンの異常分泌が心臓に与える影響は非常に大きいため、動悸が頻繁に起こる場合は、甲状腺機能のチェックを受けることが重要です。

厚生労働省 - 甲状腺の病気に関する情報

日本甲状腺学会 - 甲状腺疾患について

日本内分泌学会 - 甲状腺疾患について

甲状腺機能亢進症による動悸の具体的な症状と生活への影響

甲状腺機能亢進症による動悸は、生活の質を大きく損なうことがあります。ここでは、具体的な症状や生活への影響について解説します。

  • 動悸と心拍数の変化
    甲状腺機能亢進症の動悸は、心拍数の増加やリズムの乱れを伴います。特に、心拍数が安静時でも90〜100拍/分以上になることが多く、軽い運動や階段の昇り降りでさらに増加します。このため、普段の生活で息切れや動悸を強く感じるようになります。

  • 胸の痛みや圧迫感
    甲状腺ホルモンの影響で心臓が過剰に働くと、胸の痛みや圧迫感を感じることがあります。これは、心臓に負担がかかり、血流が一時的に悪くなることで起こる症状です。動悸とともに胸の痛みを感じる場合は、心臓病のリスクも考えられるため、早めの診察が必要です。

  • 不眠や精神的な不安定さ
    甲状腺ホルモンの過剰分泌は、神経系にも影響を与え、不眠やイライラ、精神的な不安定さを引き起こすことがあります。これにより、眠れない夜が続いたり、精神的な疲れを感じやすくなります。これらの症状が動悸をさらに悪化させ、悪循環に陥ることもあります。

  • 日常生活への影響
    動悸や息切れ、不安感などの症状が続くと、日常生活にも大きな影響を及ぼします。軽い運動や家事、仕事中に動悸が頻繁に起こると、集中力が低下し、疲れやすくなります。特に、心臓の症状は不安を強めやすく、外出や社会活動を避けるようになることもあります。

これらの症状が続く場合は、甲状腺機能亢進症の可能性を考え、専門医の診察を受けることが重要です。早期に診断し、適切な治療を行うことで、生活の質を改善することができます。

甲状腺機能亢進症による動悸の治療と予防

甲状腺機能亢進症による動悸は、適切な治療を行うことで改善が期待できます。ここでは、治療方法と予防について解説します。

  • 薬物療法
    甲状腺ホルモンの分泌を抑える薬(抗甲状腺薬)を使用し、ホルモンのバランスを整えます。代表的な薬には、メルカゾール(チアマゾール)やプロピルチオウラシル(PTU)があります。これらの薬を使用することで、心拍数の安定や動悸の軽減が期待できます。

  • 放射性ヨード療法
    放射性ヨードを服用し、甲状腺の細胞を選択的に破壊する治療法です。これにより、甲状腺ホルモンの分泌を抑え、症状の改善が見られます。特に、薬物療法が効果を示さない場合や、再発を繰り返す場合に選択されます。

  • 外科手術(甲状腺摘出術)
    甲状腺の一部または全体を摘出する手術です。手術後は、ホルモンバランスが安定し、動悸などの症状が改善されます。手術は、重症例や他の治療法が効果を示さない場合に行われます。

  • β遮断薬の使用
    動悸や心拍数の増加を抑えるために、β遮断薬(プロプラノロールなど)が使用されることがあります。これにより、心拍数をコントロールし、動悸や不整脈を軽減します。甲状腺ホルモンの治療と併用して使用されることが多いです。

  • 予防と生活習慣の改善
    甲状腺機能亢進症の治療中は、ストレスを避け、規則正しい生活を心がけることが重要です。適度な運動を取り入れることで、心肺機能を高め、ストレスの軽減を図ることができます。また、カフェインやアルコールの摂取を控え、心拍数の上昇を防ぐことも有効です。

甲状腺機能亢進症による動悸は、適切な治療と生活習慣の改善でコントロールすることが可能です。症状が改善しない場合や新たな症状が出た場合は、すぐに医師に相談しましょう。

当院でのサポート:甲状腺機能亢進症と動悸の治療

 

蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニックでは、甲状腺機能亢進症による動悸などの症状に対して、専門的な診断と治療を提供しています。当院でのサポート内容についてご紹介します。

  • 精密な診断と治療計画の作成
    当院では、甲状腺機能の詳細な検査を行い、ホルモンバランスや症状の程度を確認します。血液検査や超音波検査を用いて、甲状腺の状態を正確に評価し、最適な治療計画を立てます。

  • 個別に合わせた薬物療法の提供
    甲状腺機能亢進症の治療において、個々の患者様の症状やライフスタイルに合わせた薬物療法を提供します。抗甲状腺薬やβ遮断薬の使用方法を細かく指導し、適切な投薬管理を行います。

  • 治療効果のフォローアップ
    治療開始後も定期的にフォローアップを行い、ホルモンバランスの変化や症状の改善状況を確認します。必要に応じて治療計画を見直し、より効果的な治療を継続して提供します。

  • 生活習慣の改善アドバイス
    甲状腺機能亢進症の治療と並行して、ストレス管理や生活習慣の改善についてアドバイスを行います。心身の健康を守りながら、動悸や不安感を軽減できるようサポートします。

  • 心理的サポートの提供
    甲状腺機能亢進症に伴う動悸や不安感は、精神的な負担も大きくなります。当院では、患者様が安心して治療を受けられるよう、カウンセリングや心理的サポートも行っています。心の健康を保ちながら、治療に取り組める環境を提供します。

当院では、甲状腺機能亢進症の治療と動悸の改善に向けて、患者様一人ひとりに合わせたきめ細やかなサポートを行っております。動悸や不整脈などの症状にお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。

 

監修者プロフィール

院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性

  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
  • 日本内科学会 総合内科専門医

豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患の診断と治療を提供しています。

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