甲状腺疾患と仕事の両立:症状の理解と働き方の工夫

はじめに

甲状腺疾患は、働く世代にも多く見られる病気であり、その影響は生活の質に直結します。仕事をしている方にとって、甲状腺の異常は集中力や体力の低下を引き起こし、職場でのパフォーマンスにも影響を与えることがあります。しかし、早期発見と適切な治療によって、甲状腺疾患と仕事の両立は十分に可能です。この記事では、甲状腺疾患が仕事に与える影響とその対策、職場での対応方法について詳しく解説します。
\1分でわかる甲状腺と仕事/

甲状腺疾患が仕事に与える影響

甲状腺疾患は、体内の代謝を調節する甲状腺ホルモンの分泌異常によって引き起こされ、仕事におけるパフォーマンスにさまざまな影響を与える可能性があります。

  • 甲状腺機能低下症の影響
    甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの不足により、疲労感、無気力、集中力の低下、寒さへの過敏などの症状が現れます。これらの症状は、仕事中の作業効率を著しく低下させ、長時間のデスクワークや会議での集中力を維持することが難しくなる場合があります。

  • 甲状腺機能亢進症の影響
    逆に、甲状腺機能亢進症では、ホルモンが過剰に分泌されるため、落ち着きがなくなり、動悸や不安感、イライラ感が強くなることがあります。また、過剰な代謝により体重が減少し、体力が急激に低下することもあるため、仕事において必要なエネルギーを維持するのが難しくなることがあります。

  • 仕事への具体的な影響
    これらの症状は、特に長時間の集中が求められる仕事や、体力を必要とする業務において、大きなハンディキャップとなる可能性があります。また、症状が悪化すると、欠勤や病欠の頻度が増加することも考えられ、職場での評価にも影響を及ぼしかねません。

甲状腺疾患の早期発見と職場での対応

甲状腺疾患を早期に発見し、適切に管理することは、仕事と健康の両立において非常に重要です。職場での対応や、どのように上司や同僚と話し合うべきかもポイントとなります。

  • 定期的な健康診断と血液検査
    甲状腺疾患は、血液検査によって簡単に診断することができます。特に、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値をチェックすることで、甲状腺機能の異常を早期に発見できます。働いている方は、定期的に健康診断を受けることで、症状が現れる前に異常を発見し、迅速に対処することができます。

  • 職場でのサポート体制を整える
    甲状腺疾患の影響を最小限に抑えるためには、職場でのサポートが欠かせません。上司や人事担当者に症状を正直に伝え、働き方の調整を検討してもらうことが重要です。例えば、勤務時間の短縮やリモートワークの導入、柔軟な休憩時間の確保など、症状に合わせた職場での対応が求められます。

  • 自己管理の意識を高める
    甲状腺疾患を持つ方は、症状の悪化を防ぐために自己管理が不可欠です。定期的な薬の服用や適度な運動、十分な休養を取ることで、体調を維持し、仕事に支障をきたさないようにすることが大切です。

甲状腺疾患と働き方の工夫

甲状腺疾患を抱えながらも、仕事を継続するためには、働き方に工夫が必要です。無理をせず、適切な環境を整えることで、症状を抑えながら仕事を続けることが可能です。

  • リモートワークの導入
    体調に波がある場合や、通勤が負担となる場合、リモートワークを活用することが有効です。自宅での仕事は、柔軟なスケジュール管理が可能であり、休息を取りながら仕事を進めることができます。

  • ストレス管理
    ストレスは、甲状腺の機能に大きな影響を与えるため、ストレス管理は非常に重要です。過度なプレッシャーやストレスがかかる業務を避け、リラックスできる環境を作ることが、甲状腺疾患の悪化を防ぐ一助となります。

  • 栄養バランスの取れた食生活
    甲状腺の機能をサポートするためには、適切な栄養バランスが欠かせません。特に、ヨウ素やセレンなどのミネラルが甲状腺の健康に重要な役割を果たしているため、食事にも気を配ることが大切です。

当院でのサポート

 

蒲田駅前やまだ内科糖尿病・甲状腺クリニックでは、甲状腺疾患を持つ方が仕事と健康を両立できるよう、包括的なサポートを提供しています。以下のような支援を通じて、働く世代の健康を守ります。

  • 迅速な診断と治療
    当院では、血液検査や超音波検査を用いて、甲状腺の異常を迅速に診断します。早期発見によって、仕事への影響を最小限に抑えることができ、必要な治療を開始します。

  • 生活指導と働き方のアドバイス
    甲状腺疾患を持つ方には、適切な生活指導や働き方のアドバイスを提供しています。体調に合わせた勤務時間の調整や、ストレス管理の方法についてもご相談いただけます。

  • 継続的なフォローアップ
    治療を開始した後も、定期的なフォローアップを行い、甲状腺ホルモンのバランスを維持するためのサポートを提供します。仕事と健康を両立するために、長期的な視点での治療計画を立てています。


監修者プロフィール

院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性

  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患の診断と治療を提供しています。
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