甲状腺と汗の関係とは?
甲状腺は、私たちの体内で代謝を調整する重要なホルモンを分泌する器官です。甲状腺ホルモン(T3、T4)は、エネルギー消費や体温調節に深く関わっています。これらのホルモンが過剰に分泌されると、代謝が活発になり、体温が上昇しやすくなります。これにより、発汗量が増えることが多く、特に甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の場合、汗をかきやすくなるという症状が現れます。逆に、甲状腺機能低下症(橋本病)では、甲状腺ホルモンの分泌が不足するため、代謝が低下し、体温が下がりやすくなるため、汗をかきにくくなる傾向があります。
汗をかくということは、体が体温を調整しようとしている証拠です。甲状腺の異常があると、発汗量が通常とは異なり、生活の質に大きな影響を与えることがあります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)と発汗
甲状腺機能亢進症、特にバセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって代謝が活発化し、体温が上昇しやすくなります。その結果、異常に汗をかきやすくなり、手のひらや足の裏など、特定の部位だけでなく、全身にわたって汗をかくことがあります。これは、体が過剰なエネルギーを消費し、体温を下げようとするためです。
バセドウ病の患者さんは、暑くもないのに汗を大量にかいたり、夜間に寝汗をかくことがよくあります。また、暑さを感じやすく、夏場や温暖な環境では特に症状が顕著になります。発汗以外にも、動悸、手の震え、体重減少などの症状が見られる場合は、甲状腺機能亢進症の可能性が高いため、早めに専門医に相談することが重要です。
甲状腺機能低下症(橋本病)と汗の減少
一方、甲状腺機能低下症(橋本病)は、甲状腺ホルモンの分泌が不足する状態であり、代謝が低下するため、体温も下がりやすくなります。これにより、体は汗をかきにくくなり、寒がりになることが多いです。寒さを感じやすく、手足が冷たくなるなどの症状も見られます。
また、甲状腺機能低下症の患者さんは、皮膚が乾燥しやすく、特に冬場にはかゆみが生じることもあります。これらの症状は、ホルモン治療によって改善されることが多いため、適切な診断と治療が必要です。
発汗異常が示すその他の甲状腺疾患の可能性
甲状腺の病気は、バセドウ病や橋本病だけではありません。甲状腺炎や甲状腺腫瘍なども、発汗に異常をきたすことがあります。たとえば、甲状腺炎では、急激に甲状腺ホルモンの分泌が増えたり減ったりすることがあり、これが発汗の増減に影響を与えることがあります。
また、甲状腺にしこりや腫瘍がある場合、発汗やその他の全身症状が現れることもあります。特に悪性腫瘍の場合、ホルモンバランスが乱れることで、発汗異常や体重減少、疲労感などが見られることがあります。これらの症状が続く場合は、早急に医師の診断を受けることが推奨されます。
当院での診断・治療の流れ
蒲田駅前やまだ内科 糖尿病・甲状腺クリニックでは、甲状腺疾患による発汗異常の診断と治療を行っています。初診時には、患者さんの症状を詳しくヒアリングし、必要に応じて血液検査や甲状腺エコー検査を実施します。これにより、甲状腺ホルモンのバランスや甲状腺の形態的な異常を確認し、正確な診断を行います。
診断結果に基づき、甲状腺ホルモンの異常が確認された場合は、適切な薬物療法を行います。バセドウ病の場合、抗甲状腺薬を用いて甲状腺ホルモンの分泌を抑える治療を行い、橋本病の場合は甲状腺ホルモンを補充する治療を行います。また、症状の進行や治療効果を定期的に評価し、必要に応じて治療内容を調整します。
当院では、患者さんが快適な生活を送れるよう、わかりやすい説明ときめ細やかなフォローアップを心がけています。甲状腺に関する不安や疑問がありましたら、お気軽にご相談ください。
監修者プロフィール
院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)
山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。
資格・専門性
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
日本内科学会 総合内科専門医
豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患における最新の治療を提供しています。