共同研究者である平池勇雄先生が執筆した論文がProc Natl Acad Sci U S A誌 に掲載されました。
Proc Natl Acad Sci U S A
. 2023 Aug;120(31):e2308750120. doi: 10.1073/pnas.2308750120. Epub 2023 Jul 24.
NFIA in adipocytes reciprocally regulates mitochondrial and inflammatory gene program to improve glucose homeostasis
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37487068/
『Proc Natl Acad Sci U S A』2023年8月号に掲載された論文は、NFIA(核因子I-A)が脂肪細胞内でミトコンドリア関連遺伝子と炎症関連遺伝子のプログラムを相互に調節し、グルコースのホメオスタシス(平衡状態)を改善することを示しています。NFIAは褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞の転写制御を担当し、ミトコンドリア酸化リン酸化(Ox-Phos)による適応的熱産生がエネルギーの消費を促進する一方、脂肪組織の慢性的な炎症は2型糖尿病と肥満と関連しています。NFIAを脂肪細胞内で遺伝子組み換えして発現させたマウスは、改善されたグルコース耐性と限定された体重増加を示しました。NFIAは、PPARγのゲノム結合を介した増強子活性化により、Ox-Phosや褐色脂肪特有の遺伝子を上昇させます。対照的に、NFIAは脂肪細胞内で炎症性サイトカイン遺伝子を減少させ、脂肪組織の炎症を軽減します。NFIAは、炎症性サイトカインMCP-1(単球趋化因子-1)をコードするCcl2遺伝子の調節領域に結合し、その転写を減少させます。ヒト脂肪組織において、CCL2の発現はNFIAの発現と負の相関がありました。これにより、NFIAがグルコースと体重のホメオスタシスを改善する効果が明らかにされ、同時にNFIAが脂肪組織の炎症を抑制する役割も示唆されました。
平池先生、おめでとうございます!
山田院長の研究活動
https://researchmap.jp/20161114