チラーヂンとは?
チラーヂンは、甲状腺ホルモン剤の1つであり、甲状腺ホルモンを補充する目的で飲むお薬です。橋本病や甲状腺機能低下症のお客様に使われます。
チラーヂンSは、体の中に存在する甲状腺ホルモンそのものであるため、適量を飲んでいれば副作用は現れません。なお、飲み過ぎた場合は発汗や手足の震え、動悸などの甲状腺ホルモンが多過ぎる場合の症状が見られます。
チラーヂンの特徴
チラーヂンは合成された甲状腺ホルモン薬(T4)で、少しずつ効果を発揮し、長期間継続します。効果が安定するため、甲状腺機能低下症をはじめ、様々な疾患で用いられます。
他のお薬との飲み合わせについて
他のお薬に影響を及ぼしやすい一方で、影響も受けやすいです。例として、ジギタリス系の強心薬の効果を減弱させたり、抗凝固薬であるワルファリン、交感神経刺激薬のメチルエフェドリンやアドレナリンなどの効果を増強させたりします。
また、高コレステロール血症などに使う陰イオン交換樹脂製剤のコレスチミド(コレバイン)やコレスチラミン(クエストラン)、一部の制酸薬(胃腸薬)、セベラマー(フォスブロック)、炭酸ランタン(ホスレノール)、貧血に使う鉄剤などを一緒に服用した場合、チラーヂンが吸収されにくくなります。そのため、このようなお薬も飲む場合は、飲む時間帯を可能な限りずらしましょう。医師の指示次第ですが、3〜4時間ほどずらして飲むのがお勧めです。
さらに、フェノバルビタール(フェノバール)やカルバマゼピン(テグレトール)、フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)などの抗痙攣薬により、チラーヂンの血中濃度が低くなる可能性があります。また、女性ホルモン薬(卵胞ホルモン薬)や抗不整脈薬のアミオダロン(アンカロン)により甲状腺ホルモン値が下がりやすくなります。そのため、このようなお薬を一緒に飲む場合は、このお薬(チラージンS)の量を増やす場合があります。
注意事項
一般的には、心臓に負荷がかからないように、12.5~25μgなどの少ない量から飲み始め、少しずつ増量していきます。特に高齢者や心臓の状態が悪い方には注意深く様子を見ながら増やしていきます。
維持量が定まればそのまま継続していきます。指示がある間は、忘れずに飲み続けましょう。
チラーヂンの副作用
- 不安感、いらいら感
- かゆみ、発疹
- めまい、頭痛、発汗、不眠、震え
- 吐き気、食欲低下、体重減少
- 不整脈、脈拍増加、動悸(どきどきとする感じ)
チラーヂンの効果が過剰になると、手が震える、汗が出る、動悸を感じるなどの症状が見られます。さらに、かゆみ、発疹、食欲低下なども見られることがあります。
重篤な副作用は現れにくいですが、初期症状には気をつけましょう。
重篤な副作用 | 症状 |
---|---|
狭心症 | 胸の圧迫感、違和感、痛み |
肝臓の障害 | 食欲低下、発熱、かゆみ、茶褐色の尿、白目や皮膚が黄色くなる、発疹、吐き気、倦怠感 |
副腎クリーゼ (急性副腎不全) |
意識レベルの低下、呼吸苦、血圧低下、尿量減少、ひどいだるさ、吐き気、嘔吐、食欲低下、腹痛、下痢 |
チラーヂンを飲むと体重が減る?
チラーヂンを飲むと体重が減ると言われています。甲状腺ホルモンが増える影響で代謝が上がり、体重が減少したり痩せたりすると考えられます。つまり、チラーヂンで体重が減るのは副作用のためだと言えます。
代謝が上がって体重が減少したり痩せたりしますが、適応症とは別に使うことはお勧めできません。副作用の危険性が増えるだけであり、ダイエットをするために飲むことはやめましょう。
チラーヂンは基本的に飲み続けるお薬です
甲状腺ホルモンが不十分であるため、チラーヂンを飲み続けてホルモンを補充しなければいけません。
人によって異なりますが、約1〜2ヶ月で効果を実感できることが多いです。甲状腺ホルモンが安定してこれば、橋本病や甲状腺機能低下症などの症状が落ち着いてきて、いずれは症状が現れなくなります。しかし、お薬を飲んで甲状腺ホルモンを維持しているので、チラーヂンなどの甲状腺ホルモン剤を飲まなくなれば、症状が再び現れます。
甲状腺機能低下症が完治した場合はお薬をやめられますが、基本的には継続して飲まなくてはいけません。
当院では、当日30分から40分で甲状腺ホルモンの結果が出る検査機器を導入しております。合わせて原則として当日に甲状腺超音波検査ができる体制を整えております。