甲状腺クリーゼの症状や診断方法

甲状腺クリーゼとは?

甲状腺クリーゼとは?甲状腺ホルモンが過剰になり、過度に作用している状態を甲状腺中毒症と言います。甲状腺中毒症の方が未治療もしくは治療が十分でない場合に、怪我、感染症(肺炎など)、手術などの強いストレスが加わると、甲状腺クリーゼを発症することがあります。

甲状腺クリーゼは、心臓や肝臓などの多臓器の機能が低下し、高熱、頻脈、意識障害、呼吸停止、黄疸などの症状を示し、最悪の場合、命を落とす危険性のある疾患です。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺クリーゼの症状

  • 中枢神経症状
    - 精神異常、傾眠(けいみん:軽い意識障害)、不穏(落ち着きがない状態)、せん妄(言葉や振る舞いに一時的に混乱が起こる障害)、痙攣、昏睡
  • 発熱(38℃以上)
  • 頻脈(130回以上/1分)
    ※甲状腺中毒症では100回以上/1分となることが多い
  • 心不全症状
    - 肺水腫(肺の毛細血管から液体成分が肺胞内に滲み出した状態)、肺野の半分以上の湿性ラ音(異常な呼吸音)、心原性ショック(心臓のポンプ機能の低下により、全身の臓器に血液を供給できなくなった状態)
  • 消化器症状
    - 吐き気・嘔吐、黄疸、下痢

甲状腺クリーゼの検査・診断方法

甲状腺クリーゼの検査・診断方法甲状腺クリーゼを診断するには、症状の内容を伺い、加えて採血により甲状腺ホルモンの遊離T3や遊離T4の上昇を確認する必要があります。甲状腺クリーゼは、頻脈や心房細動など不整脈を起こします。そのため、心電図検査を行い、不整脈の有無を確認することも必要です。

また、心臓機能の低下により心不全が起こっていることもあるため、胸部レントゲン検査や腹部レントゲン検査を実施し、心臓の拡大、胸水、肺水腫などの異常の有無を確認します。

甲状腺クリーゼの治療方法

甲状腺クリーゼは、命を落とす可能性がある深刻な疾患です。そのため、集中治療室にて血圧・呼吸状態を安定化させることが必要となります。治療は薬物療法と原因となった疾患・症状に対する対症療法が行われます。

薬物療法では、血中の甲状腺ホルモンを減少させるために、ホルモンの合成・分泌を抑制する抗甲状腺薬や無機ヨウ素、そして甲状腺ホルモンの作用を弱める副腎皮質ホルモン(ステロイド)を使用します。

予防のために、お薬の服用は規則的に!

予防のために、お薬の服用は規則的に!甲状腺クリーゼは、医師の指示に従ってお薬を服用し続けることが予防に繋がります。お薬の服用によって、過剰な甲状腺ホルモンの分泌(甲状腺機能亢進症)を抑えることができます。 自己判断で治療を中断してしまうと、甲状腺機能に異常が生じ、甲状腺クリーゼの発症を招きます。

また、甲状腺クリーゼは、感染症が原因になることも多いです。甲状腺機能亢進症のお客様は感染症予防に努め、万が一発症した場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

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