甲状腺の役割
甲状腺はのど仏のすぐ下にある蝶のような形をした小さな臓器で、体内の代謝をコントロールする甲状腺ホルモンを分泌する役目を担っています。甲状腺ホルモンは、エネルギーの消費、消化機能、体温・心拍数のコントロールなど、身体の多くの機能に関わっています。
甲状腺ホルモンの分泌や甲状腺機能は、私たちが日常的に口にする「お茶」「コーヒー」など、飲食物から影響を受けることがあります。
お茶と甲状腺
お茶と言っても様々なものがありますが、なかでも、緑茶や紅茶、ハーブティーは嗜好品として飲まれることが多いと思います。
これらは様々な健康効果を有していますが、過剰摂取した場合、甲状腺に悪影響を及ぼすとも考えられています。
厚生労働省 - 甲状腺の病気に関する情報
日本甲状腺学会 - 甲状腺疾患について
日本内分泌学会 - 甲状腺疾患について
緑茶
緑茶は強い抗酸化作用を持っており、体内で起きた炎症を鎮める効果があります。なお、ある研究によると、緑茶に入っているフラボノイドという成分は、甲状腺に悪影響を及ぼす可能性があると言われています。なかでも、ヨウ素の吸収を妨げる恐れがあるため、甲状腺ホルモンの分泌が低下した甲状腺機能低下症の方は気を付ける必要があります。
紅茶
紅茶も強い抗酸化作用を有しており、健康効果があると言われています。また、紅茶にはカフェインも入っています。カフェインは甲状腺ホルモンの分泌を過剰に刺激してしまうことがあります。そのため、飲み過ぎには注意が必要です。
ハーブティー
ハーブティーは消化を促す効果やリラックス効果があり、カフェインを含んでいないことが多いです。しかし、一部のハーブは甲状腺に悪影響を及ぼす可能性のある成分が入っていることがあります。具体例を挙げると、セージやミントなどはホルモンバランスの失調が起こることがあるため、甲状腺異常に不安を抱えている方は過剰の摂取には注意が必要です。
甲状腺とコーヒーの飲み合わせについて
コーヒーは、カフェインの他に、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質(ポリフェノール)などが入っており、健康面に様々な影響を及ぼします。
カフェインの影響
カフェインと甲状腺ホルモン
カフェインは中枢神経系に作用して代謝を促しますが、甲状腺ホルモンの分泌にも影響を及ぼすことがあります。カフェインを過剰摂取してしまうと、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、甲状腺機能亢進症の症状を増悪させる恐れがあります。
カフェインと甲状腺機能低下症
反対に、甲状腺ホルモンの分泌が低下した甲状腺機能低下症では、カフェインにより代謝が一時的に改善され、局所的に症状が軽減する可能性があります。なお、根本的な治療ではございまませんので注意が必要です。
甲状腺ホルモン薬を服用中の方はコーヒーを飲むタイミングに注意
甲状腺ホルモン薬を内服中の方は、コーヒーを飲むタイミングに気を付けなければなりません。コーヒーはお薬が体内に吸収される過程を阻害することがあり、お薬の効果が十分に発揮できない可能性があります。お薬を服用後、最低でも30~1時間以上空けてから飲むようにしましょう。
甲状腺とお茶の関係まとめ
上記で説明してきたように、お茶は健康効果があるものの、甲状腺機能に対しては悪影響を及ぼすこともあります。そのため、摂取量は適量に留めましょう。また、食事のバランスにも気をつけることで、甲状腺を正常な状態に維持することが可能です。
気になることがありましたら、当院までお気軽にご相談ください。
監修者プロフィール
院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)
山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。
資格・専門性
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
日本内科学会 総合内科専門医
豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患における最新の治療を提供しています。