当院は血糖・HbA1cを即日5分で検査可能です。お気軽にご相談ください。
糖尿病の検査
問診
血糖値がそこまで高くなっていない場合、また、発症の初期段階においては糖尿病の自覚症状は乏しいと言われています。したがって、問診、採尿、採血などによって1人1人の病状を的確に把握することが大切となります。問診の際には以下のような内容を丁寧にヒアリングしております。
- 現在の体調
- 既往歴があるか
- 自覚症状があるか
- (自覚症状がある場合)症状の詳細
- ご家族で糖尿病のお客様はいるか
- 直近で体重の変化はあったか
- 日々の運動や食事の習慣
- 飲酒喫煙をしているか
- ストレスの有無 など
尿糖検査
尿中のブドウ糖の量を尿糖検査によって確認します。尿中に糖があると糖尿病なのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、血糖値が高い状態が続いている状態かどうかが糖尿病の確定診断において重要な要素となります。血糖値に異常が無い方でも尿糖検査で尿糖が陽性となることもあります。
したがって、尿糖検査で陽性となった方は、血糖測定検査やブドウ糖負荷試験もあわせて実施し、糖尿病の確定診断を行います。
血糖測定検査
血糖測定検査では血中のブドウ糖の量を確認します。空腹時血糖値とは文字通り空腹時の血糖値のことであり、10時間以上空腹状態を維持することが望ましく、検査当日の朝食を控えた状態で検査を行うことが通常です。空腹時血糖値が126mg/dL以上となると糖尿病の診断が下されます。
随時血糖値とは、食事時間を考慮せずに測定した血糖値のことです。随時血糖値が200 mg/dL以上となると糖尿病の診断が下されます。ブドウ糖負荷試験では、空腹時血糖値を調べた上で、ブドウ糖液を飲んだ後の血糖値がどのように変化するか、インスリンがどのように分泌されるかを調べます。
※糖尿病とは、空腹時血糖、随時血糖値、ブドウ糖負荷試験のいずれか一つでも基準値をオーバーしている状態のことを言います。
同様の検査を別日に実施しても異常値が計測される場合は糖尿病と診断されます。
また、空腹時血糖、随時血糖値、ブドウ糖負荷試験のいずれかで糖尿病の疑いがあり、かつHbA1c(ブドウ糖と結合したヘモグロビン数値)が6.5%以上となっている場合も糖尿と診断されます。
HbA1c
HbA1cとは
HbA1c値とは、赤血球の中のヘモグロビンというたんぱく質でブドウ糖が結合したものの割合を表しています。
ヘモグロビンにブドウ糖が結合すると二度と離れず、赤血球の生存可能期間は120日程度であるという性質を利用することで、採血から1〜2か月間の平均的な血糖値がわかるようになります。
したがって、最近の運動や食事習慣には影響されずに、数か月間の血糖値の上昇度合いを確認することも可能です。
血糖値との違い
血糖値は最近の運動や食事習慣に影響されやすく、数値は1日を通して上下する傾向にあります。糖尿病が進行すると血糖値の変動幅は大きくなる傾向にあります。検査の時期によって血糖値は変動するため、早朝の空腹時に行う健康診断の採血では最小値が出る傾向にあり、血糖値が上昇する時間帯が存在しても糖尿病を発見できないことも多くあります。
HbA1cは高血糖な時間帯の影響も反映されるため、初期の糖尿病であっても見つけやすくなります。
HbA1cの正常値
日本糖尿病学会によって以下のように定義されていますが、特定保健指導の観点では正常値は5.6%未満と考えられています。
4.6〜6.2% | 正常値 |
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6.0〜6.4% | 糖尿病の可能性がゼロではない |
6.5%以上 | 糖尿病の可能性が高い |
性別や年齢に関係なく5.6%未満が正常値と考えられています。糖尿病の診断を過去に受けている方は合併症のリスクを減らすために、HbA1c値を7.0%未満に抑えることが望ましいですが、ご年齢、服用しているお薬、認知機能の程度によっては目標値を変更することもあります。これは高血糖のみならず低血糖にも細心の注意を払う必要があるためです。
血糖管理指標はHbA1cだけ?グリコアルブミンとは?
HbA1c以外にも血糖値のコントロール状況を確認できる数値があります。糖尿病専門医はHbA1c値と実際の血糖値が乖離することがよくあるということを念頭に入れて診療にあたっています。HbA1cは100%正確な値とはなりませんので、不自然な点がある場合はその他の数値も考慮した上で正確な判断が必要となります。
したがって、専門医は血糖値の確認なしでHbA1c値だけで血糖値の管理が十分でないと判断することは厳禁です。血糖値の変動を長年注視してきた専門医ほど正確な判断を下せることとなります。HbA1cは直近2か月間の血糖の状況に影響されるため、急激な数値変動には影響されず、また、貧血の際など赤血球の生存可能期間が変動する状況下では正確な判断は難しくなります。 赤血球の生存可能期間は120日程度ですが、個人差もあり100〜140日程度となることもあるため、あくまで大雑把な目安として理解しておくと良いでしょう。以下のような場合はHbA1cが正しく把握できない恐れがあります。
HbA1cのこのようなマイナス面をカバーするためにグリコアルブミンという血糖管理指標が考案されました。グリコアルブミンはHbA1cと同じく糖化たんぱく質の一種ですが、アルブミンは2〜3週間で半減するため、採血の2〜3週間前から採血までの期間における平均的な血糖値に影響されます。 血糖の変動により大きく影響され、特に血糖の上下幅が大きければ大きいほどグルコアルブミンの数値は高くなる特徴があるため、血糖の上下幅が小さい良質な血糖管理を目指す際に有効な指標となります。
なお、ステロイド治療時やネフローゼ症候群の際には正確な数値とならない恐れがあるため、それぞれの長所短所をきちんと理解し適切に指標を使うことが大切となります。また、それぞれの近似式は以下のようになります。
HbA1c(NGSP) ≒ グリコアルブミン/4+2 特に、グリコアルブミンが効果的に使用できるケースは以下のようなものがあります。
糖尿病の合併症と検査
血糖値上昇の早期段階で起こる急性合併症、そして血糖値が慢性的に高い状態となっていることで起こる慢性合併症があります。
急性合併症とは?
高血糖高浸透圧症候群、糖尿病ケトアシドーシス、急性感染症(尿路感染が最も多い)、低血糖(糖尿病治療に伴うもの)などが代表的であり、最悪の場合は命にかかわるケースもあるため、高度医療機関で専門的な治療を要することも多くなると考えられています。
特に、意識障害を起こしている場合は速やかに入院する必要があります。
慢性合併症とは?
皆さんがイメージする糖尿病の合併症は慢性合併症の一種です。
以下のように細小血管障害と大血管障害の2つに分類されます。
細小血管障害
毛細血管と同じくらい非常に細い血管で起こる障害です。
慢性的に血糖値が高い状態が続くことで起こり、終末糖化産物の蓄積や糖の利用障害が原因として挙げられます。
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病神経障害
- 糖尿病腎症
上記3つは糖尿病の3大合併症と考えられています。
大血管障害
動脈硬化症としても知られているもので、大きくて太い血管に障害が起こります。
特に、血糖値の上下幅が激しい程進行リスクが高くなり、HbA1cは血糖の変動幅を反映しないため、お客様それぞれの生活習慣、ご年齢、体格などを考慮して血糖値の変動を緻密に想定する必要があります。
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 閉塞性動脈硬化症(下肢動脈の血流が不足し、歩行に支障をきたす)
その他疾患
- 歯周病
- 糖尿病性足病変
- 認知症
糖尿病性足病変とは、足の血管が狭くなり末梢神経の働きが低下することで起こります。発症によって感染症や潰瘍のリスクも上昇します。糖尿病の患者様は手足の感覚が鈍化する(糖尿病性神経障害)ため、足の壊疽や変形の進行スピードが速く治療のハードルも高いため、重症化リスクが高いと考えられています。
また、糖尿病の患者様は認知症や歯周病の発症リスクも上昇すると考えられています。認知症や歯周病になると血糖を管理するハードルが上がるため、なるべく早めに予防する必要があります。こうした合併症については以下のような検査を行います。
糖尿病合併症検査
血管の検査
動脈硬化・血管年齢検査(ABI)
足の動脈効果について検査します。血管の壁に脂質が付着すると血管に硬化や狭窄が生じ、血管の柔軟性が損なわれます。ABI検査では、動脈硬化の進行度合いを数値で表して確認していきます。 「足関節の収縮期血圧」と「上腕の収縮期血圧」の比率を算出した結果を基に判断を下します。
正常値は1.0〜1.3であり、数値が低いほど重症度合いが高いとされます。 足の血流が滞ると、下肢閉塞性動脈硬化症を発症し足に壊疽が生じるリスクが高まります。壊疽を放置すると最悪のケースでは足を切断する必要があります。
また、脈のスピードを確認することで、血管年齢も測定できます。脈のスピードと年齢には相関関係があると言われており、動脈硬化の進行度合いや血管の老化度合いについて確認ができます。
頸動脈超音波検査
頸動脈は、首の頸動脈分岐部を境に内頸動脈(脳に血液を送る動脈)と外頸動脈(顔側に血液を送る動脈)へ分岐します。頸動脈分岐部には動脈硬化が起こりやすいと言われており、頸動脈の壁の厚さから動脈硬化の進行度合いや心筋梗塞・脳卒中のリスクについて判定することができます。
糖尿病網膜症の検査
(当院では実施しておりませんので近隣の眼科にて定期検査をお願いいたします。)
眼底検査 | 瞳孔から網膜の状態を直接確認します。 |
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蛍光眼底造影検査 | 蛍光造影剤を静脈注射し、眼底写真を連続して撮影します。網膜血管閉塞によって起こる虚血の度合いや新生血管ができているかどうかなど、網膜症の病状を詳しく把握することができます。 |
※糖尿病の早期発見のために、視力に異常がない方も眼底検査を受けることをお勧めします。網膜症を発症しても適切な治療によって病気の進行を抑制することができます。
腎臓:糖尿病腎症の検査
糖尿病の三大合併症の一つである糖尿病腎症は、尿の濾過量や尿蛋白の状態に応じて、以下のように第1〜5期の病期に分類されます。
第1期 (腎症前期) | 自覚症状・臨床的症状、いずれも起こりません。 |
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第2期 (早期腎症期) | 自覚症状が現れない方や、血圧上昇が起こる方もいます。 |
第3期 (顕性腎症期) | 蛋白尿が陽性となり、むくみの症状が起こる方もいらっしゃいます。 |
第4期 (腎不全期) | 尿毒症によってだるさや貧血が起こります。ネフローゼ症候群を発症すると、長期間にわたって体重増加やむくみの症状が現れます。 |
第5期 (透析療法期) | 透析や腎臓移植を要する場合があります。 |
尿中微量アルブミン検査
アルブミンは肝臓で生み出されるタンパク質の一種です。健康な方であれば尿中に現れることは稀です。
しかし、腎臓に大きな負担がかかると、老廃物とともにアルブミンも尿中に流出するようになります。尿中のアルブミンの有無を確認することで、腎臓が健康な状態かどうかを把握することに繋がります。
発症初期の糖尿病腎症では、ほとんどの場合は尿中のアルブミンが非常に少ないため、一般的な尿検査で異変を察知することは難しいと考えられています。尿中微量アルブミン検査においては、一般的な尿検査よりも早期に腎症の発見に繋がる可能性が高いです。
尿中アルブミン濃度と尿中クレアチニン濃度を一緒に検査し、両者の比率を確認します。 尿アルブミンは30mg/gCr未満が基準値となり、この数値が出ると第1期の診断となります。30〜299mg/gCrの微量のアルブミンが出ている場合は、第2期の診断となります。第2期までであれば血糖値を適切に管理し、血圧を下げることで基準値を下回る数値となることもあります。
なお、重症化して尿蛋白陽性の判定が出る第3期に進むと、基準値より下に数値を下げることは困難です。そして、第4期を超えて第5期へ進むと、透析を要する状態となり、生活の質を著しく損ねてしまいます。
尿蛋白検査
尿蛋白について確認します。第3期の病期にまで進むと尿蛋白が陽性となることが多くなります。
健康な方でも尿中へ40〜120mg程度の蛋白が1日に流出しますが、1日150mg以上の流出が見られると異常な状態となります。