TSHレセプター抗体とは?
「TSHレセプター抗体」という言葉を聞いたことがありますか?これは、バセドウ病という甲状腺の病気と深い関係があります。このページでは、TSHレセプター抗体がどのように働くのか、そしてどんな病気に関係しているのかを、わかりやすく説明します。
TSHレセプター抗体は、体の免疫システムが作る特殊なタンパク質です。通常、免疫システムは体を守る役割をしていますが、バセドウ病の場合、この抗体が甲状腺に「もっと働け!」と命令してしまいます。この結果、甲状腺がホルモンを作りすぎてしまい、体にさまざまな不調が現れます。
たとえるなら、TSHレセプター抗体は「甲状腺にガソリンをどんどん注ぎ込むポンプ」のようなもので、エンジン(甲状腺)が過剰に動いてしまうのです。
バセドウ病との関係
TSHレセプター抗体は、バセドウ病の原因となる主要な要素です。バセドウ病は、甲状腺が過剰にホルモンを作ってしまう病気で、これにより体が疲れやすくなったり、心臓がドキドキしたり、体重が減ったりすることがあります。TSHレセプター抗体が高い値を示すと、バセドウ病である可能性が高いと診断されます。
たとえるなら、バセドウ病は「エンジンが暴走して止まらなくなっている車」のような状態で、TSHレセプター抗体はその原因となっている指令書のようなものです。
厚生労働省 - 甲状腺の病気に関する情報 日本甲状腺学会 - 甲状腺疾患について 日本内分泌学会 - 甲状腺疾患について
TSHレセプター抗体の検査
バセドウ病が疑われる場合、TSHレセプター抗体を測定する血液検査が行われます。この検査により、抗体の量がわかり、バセドウ病の診断に役立ちます。治療の経過を確認するためにも、定期的にこの検査を受けることがあります。
たとえるなら、TSHレセプター抗体の検査は「エンジンの状態をチェックするための診断テスト」のようなもので、エンジン(甲状腺)がどれくらい暴走しているかを確認するために行います。
TSHレセプター抗体が高いとどうなるの?
TSHレセプター抗体が高い場合、甲状腺が過剰に働いている可能性があります。
これにより、体が常に興奮状態になり、心臓に負担がかかったり、汗をかきやすくなったりします。バセドウ病は、適切な治療を行うことで症状をコントロールすることができます。薬を使って甲状腺の働きを抑えることや、場合によっては手術が必要になることもあります。たとえるなら、エンジンが過熱しすぎて故障する前に、冷却装置やブレーキを使ってスピードを落とすような感じです。
一般的に、バセドウ病の病勢とTSHレセプター抗体の値に相関があるといわれておりますが、私の経験では患者様により異なると感じております。また、TSHレセプター抗体が陰性のバセドウ病の方もおられ、そのような場合は甲状腺刺激抗体(TSAb)の測定を行い、診断のための検査を補完しております。
当院でのサポート
当院では、TSHレセプター抗体の検査や、バセドウ病の診断・治療を専門的に行っています。患者さん一人ひとりに合った治療プランを提案し、症状が改善するまで丁寧にサポートします。TSHレセプター抗体やバセドウ病について不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
TSHレセプター抗体は、バセドウ病の原因となる抗体で、甲状腺に過剰な指示を出すことで体に不調を引き起こします。バセドウ病の診断や治療には、この抗体の検査が役立ちます。当院では、TSHレセプター抗体の検査やバセドウ病の治療をしっかりサポートしていますので、安心してご相談ください。
監修者プロフィール
院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)
山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。
資格・専門性
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
日本内科学会 総合内科専門医
豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患における最新の治療を提供しています。