口の中が乾くのは糖尿病のサイン?
「口の中が乾く」という症状は、日常生活で誰もが一度は経験するものです。特に緊張したり、ストレスを感じたりしたときに一時的に乾燥を感じることは普通ですが、これが頻繁に起こる場合や慢性的に続く場合には注意が必要です。
なぜ糖尿病で口の中が乾くの?
糖尿病で口の中が乾く理由は、主に高血糖状態が関与しています。糖尿病になると、体内で血糖値が高い状態が続き、これが体にさまざまな影響を与えます。血糖値が上がると、腎臓は余分な糖を尿として排出しようと働きます。そのため、大量の尿が作られ、結果として体は水分を失います。この脱水症状が、口の中の乾きを引き起こす原因の一つです。
さらに、糖尿病では唾液の分泌量が減少することも知られています。唾液は口腔内の潤滑や消化を助け、細菌の繁殖を防ぐ役割がありますが、その量が不足すると、乾燥感が強まり、口の中が乾いた状態が続くことになります。また、口腔内の乾燥は、口臭や虫歯、歯周病のリスクを高める要因にもなり得ます。
口の乾きが頻繁に続く場合は、糖尿病の初期症状や血糖値のコントロール不足を示すサインかもしれません。
たとえるなら、糖尿病は「乾燥したスポンジ」のようなもので、水分がどんどん吸い取られてしまい、口の中が乾燥してしまうのです。
口の中が乾くとどうなる?
口の中が乾く状態、いわゆる口腔乾燥症は、単なる不快感だけでなく、さまざまな医学的問題を引き起こす原因になります。唾液は口腔内の潤滑を保ち、食べ物の消化を助け、口内の細菌の増殖を抑える役割があります。唾液の分泌が不足すると、これらの機能が低下し、結果として以下のような問題が生じる可能性があります。
まず、口腔乾燥により口臭が強くなります。唾液が少ないと口腔内の細菌が増殖しやすくなり、不快な臭いを生む原因となります。また、虫歯や歯周病のリスクも高まります。唾液には酸を中和し、歯を保護する作用があるため、唾液不足は歯のエナメル質を傷めやすくし、口腔内の病気を招きやすくします。
さらに、口の乾きが続くと食べ物の摂取が困難になり、飲み込みにくさや味覚の低下を感じることもあります。長期間にわたって口腔乾燥症が続くと、栄養不足や体重減少、さらには全身の健康状態にも影響を及ぼすことがあります
たとえるなら、水分が不足したスポンジがカラカラになってしまい、うまく機能しなくなるように、口の中も乾燥するとトラブルが増えてしまうのです。
口の中の乾きを防ぐには?
糖尿病による口の中の乾きを防ぐためには、血糖値の管理がとても大切です。血糖値が安定すると、体の水分バランスも改善され、口の中の乾きが軽減されます。また、以下の方法も試してみましょう。
水分をこまめに摂る: 水を少しずつ飲むことで、体内の水分を補給し、口の中の乾きを防ぎます。
砂糖の入っていないガムを噛む: ガムを噛むことで唾液の分泌を促し、口の中を潤すことができます。
加湿器を使う: 部屋の湿度を上げることで、口の中の乾燥を防ぐことができます。
たとえるなら、乾いたスポンジに水を含ませて、再び柔らかくするように、体に適度な水分を補うことが大切です。
当院でのサポート
当院では、糖尿病に関する診断や治療に加え、口の中の乾きなどの症状に対するケアも行っています。口の中が乾く症状が気になる方や、糖尿病の管理に不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、あなたの健康をサポートし、最適な治療プランを提案します。
口の中が乾くのは、糖尿病のサインかもしれません。血糖値の管理や適切なケアで、口の中の乾きを予防することができます。当院では、糖尿病に関連する症状についてもサポートしていますので、安心してご相談ください。
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監修者プロフィール
院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)
山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。
資格・専門性
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
- 日本内科学会 総合内科専門医
豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患における最新の治療を提供しています。