甲状腺機能亢進症の症状をチェックしよう!

甲状腺機能亢進症とは?

甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)は、甲状腺が過剰にホルモンを分泌することで、体の代謝が異常に高くなる病気です。甲状腺は首の前面にある小さな臓器で、全身のエネルギー消費を調整する「甲状腺ホルモン」を生成しています。これらのホルモンは、体温の調整、心拍数のコントロール、消化機能の調節など、さまざまな重要な役割を果たしています。
 
しかし、甲状腺機能亢進症では、このホルモンが過剰に生成され、体の代謝が異常に活発になります。最も一般的な甲状腺機能亢進症の原因は「バセドウ病」と呼ばれる自己免疫疾患で、体の免疫システムが誤って甲状腺を過剰に刺激し続けるために起こります。その他の原因としては、甲状腺に腫瘍がある場合や、特定の薬物療法による影響などもあります。
 
甲状腺機能亢進症は、女性に多く見られる疾患ですが、男性にも発症することがあります。早期に症状を把握し、適切な診断と治療を受けることで、生活の質を維持し、病気の進行を抑えることが可能です。
 

甲状腺機能亢進症の主な症状をチェックしよう

 

甲状腺機能亢進症の症状は、体の代謝が異常に高まることから、全身にさまざまな影響を及ぼします。症状は個人によって異なりますが、以下のような兆候が見られることが多いです。これらの症状を自覚したら、早めに医師の診断を受けることをお勧めします。
 
1. 動悸や心拍数の増加
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、心臓の働きが過剰になり、動悸や心拍数の増加が見られます。特に、安静時でも心臓が速く鼓動する感じが続く場合は、甲状腺機能亢進症が原因かもしれません。
 
2. 体重減少
甲状腺機能亢進症では、食事量が増えても体重が減少することがあります。これは、代謝が異常に高まり、体が過剰にエネルギーを消費しているためです。食欲が増しても体重が減るという症状が見られたら、甲状腺機能に異常がある可能性があります。
 
3. 暑がりや発汗
甲状腺ホルモンは体温の調整にも関与しているため、過剰なホルモン分泌によって体温が上昇し、汗をかきやすくなります。常に暑さを感じ、冷房の効いた場所でも暑がることが多くなります。
 
4. 筋力低下
筋肉の弱まりや疲れやすさも甲状腺機能亢進症の一般的な症状です。運動後の疲労感が通常よりも強く感じられる場合や、軽い運動でもすぐに筋肉がだるくなる場合は、甲状腺ホルモンが過剰である可能性があります。
 
5. 精神的な不安定
ホルモンバランスの乱れは、精神的にも影響を与えます。不安感、イライラ、神経過敏、睡眠障害などが現れることがあります。これらの症状が持続する場合、ストレスや精神的な問題だけではなく、甲状腺の異常を疑う必要があります。
 
6. 眼の症状(甲状腺眼症)
バセドウ病による甲状腺機能亢進症では、眼球突出(目が飛び出して見える状態)や視力の変化が見られることがあります。これは、眼の後ろの組織が腫れ、眼球が前方に押し出されるために起こります。

 

甲状腺機能亢進症の早期発見が大切!

甲状腺機能亢進症は、早期に発見し治療を開始することが非常に重要です。放置すると、代謝の異常が進行し、体全体に深刻な影響を与えることがあります。特に、以下のような合併症を引き起こす可能性があるため、早期の対処が不可欠です。
 
1. 心臓への負担
甲状腺機能亢進症は心臓に大きな負担をかけます。特に、心房細動(不整脈)や心不全を引き起こすリスクが高まります。これらの状態は、適切な治療が行われなければ、命に関わる場合もあるため、早期の治療が必要です。
 
2. 骨密度の低下
甲状腺ホルモンの過剰分泌は、骨からカルシウムを奪い、骨密度を低下させる可能性があります。これにより、骨が脆くなり、骨折しやすくなります。特に高齢者においては、骨粗しょう症や骨折のリスクが高まるため、早めの診断と治療が重要です。
 
3. 体重の異常な変動
体重減少が進行すると、栄養不良や筋力の低下を引き起こし、全身の体力が低下します。代謝が異常に活発な状態では、体重減少を止めることが難しくなるため、早期に代謝をコントロールする治療が必要です。
 
甲状腺機能亢進症は、診断が遅れると体全体に多くの問題を引き起こします。自己チェックや定期的な健康診断を通じて、症状を見逃さないことが健康維持の鍵です。特に、上記のような症状を自覚した場合、すぐに医師に相談することをお勧めします。

当院でのサポート

当院では、甲状腺機能亢進症に対する専門的な診療と治療を提供しています。甲状腺の異常は、早期の診断と適切な治療が重要であり、患者様一人ひとりの状態に合わせた個別の治療プランを提案しています。
 
#1. 専門的な診断
甲状腺機能亢進症の診断には、血液検査が最も効果的です。血液中の甲状腺ホルモン(T3、T4)および甲状腺刺激ホルモン(TSH)のレベルを確認し、ホルモンバランスの異常を特定します。さらに、甲状腺の超音波検査を通じて、甲状腺の状態や腫瘍の有無を確認します。
 
2. オーダーメイド治療
甲状腺機能亢進症の治療は、患者様の症状やホルモンの異常の程度に応じて行われます。抗甲状腺薬による治療が一般的であり、過剰なホルモン分泌を抑えるための薬物療法が提供されます。また、放射性ヨウ素治療や手術が必要な場合もありますが、当院では患者様に最適な治療法を選択し、効果的な治療を進めるため、必要に応じて外部の医療機関をご紹介します。
 
3. 継続的なフォローアップ
甲状腺機能亢
進症は、長期的な管理が必要な病気です。治療が終わった後も、定期的な検査とフォローアップを行い、甲状腺ホルモンのバランスを確認しながら、健康維持に努めます。当院では、患者様が安心して治療を続けられるよう、継続的なサポートを提供しています。

まとめ

甲状腺機能亢進症は、体全体にさまざまな影響を与える病気であり、早期発見と治療が非常に重要です。動悸、体重減少、暑がり、筋力低下などの症状が見られた場合、甲状腺の問題を疑い、医師に相談することをお勧めします。自己判断で症状を放置せず、適切な診断と治療を受けることで、生活の質を向上させ、健康な生活を送ることが可能です。
 
当院では、甲状腺機能亢進症の専門的な診療と治療を提供しており、患者様一人ひとりに合わせた最適な治療プランを提案しています。症状に心当たりがある方は、ぜひ当院にご相談ください。専門医があなたの健康をサポートいたします。
 
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監修者プロフィール  
院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)
 
山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。
 
資格・専門性
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医  
- 日本内科学会 総合内科専門医  
 
豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患における最新の治療を提供しています。
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