甲状腺結節とは?
甲状腺結節は、甲状腺に発生するしこりや腫瘤を指します。これらの結節は形状や大きさ、性質によって異なり、触診やエコー検査で発見されることが多いです。結節の多くは良性であり、特に症状がない場合もありますが、一部は甲状腺がんなどの悪性疾患である可能性もあるため、正確な診断が重要です。
甲状腺結節の原因は、慢性的な甲状腺炎(橋本病など)、放射線被曝、遺伝的要因、ヨウ素の過不足などがあります。結節が見つかった場合、良性か悪性かを判断するために、適切な検査と診断を行い、必要に応じて治療を行います。
甲状腺結節の主な検査方法
甲状腺結節の診断には、いくつかの検査方法があります。当院では以下の検査を行っています。
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触診: 医師が手で甲状腺を触れて、しこりの有無や大きさ、硬さを確認します。結節が大きい場合や表層にある場合は、触診で発見されることがあります。
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超音波(エコー)検査: 甲状腺の形状や内部の構造、結節の大きさ、形態、血流を詳しく調べることができます。非侵襲的で痛みもなく、繰り返し行うことができるため、甲状腺結節の初期診断や経過観察に適しています。
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血液検査: 甲状腺ホルモン(TSH、FT4、FT3など)や甲状腺自己抗体(TPO抗体、サイログロブリン抗体)を測定し、甲状腺機能の異常や炎症の有無を確認します。ホルモンバランスの異常がある場合、結節の影響を判断するための参考になります。
細胞診(細針吸引細胞診)や放射性ヨウ素スキャンは、結節の性質を詳細に調べるための検査ですが、当院ではこれらの検査を行っておりません。必要に応じて、専門的な検査を行える医療機関をご紹介しています。
甲状腺結節の診断基準とリスク評価
甲状腺結節が見つかった場合、悪性か良性かを判断するために、複数の検査を組み合わせて行います。甲状腺がんは、結節の約5%程度に見られるとされており、早期発見と治療が重要です。
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エコー所見によるリスク評価: 結節の形状(不規則な形、境界がはっきりしない)、内部の構造(固体部分と液体部分の割合、石灰化の有無)、血流パターンなどの所見に基づいて、リスク評価を行います。これにより、必要に応じて、他の医療機関での細胞診や放射性ヨウ素スキャンの実施を検討します。
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リスク要因の確認: 急激な結節の成長や声のかすれ、嚥下困難、家族歴、甲状腺がんの既往歴などがある場合は、より慎重な診断と評価が求められます。
甲状腺結節の治療方法
甲状腺結節の治療は、結節の性質(良性か悪性か)、大きさ、症状の有無によって異なります。以下に、主な治療方法を紹介します。
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経過観察: 良性で症状がない結節の場合、定期的なエコー検査や血液検査による経過観察を行います。年に1~2回のフォローアップを行い、結節の変化や新たな症状が出ないかを確認します。
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薬物療法: 結節がホルモンを分泌している場合や、甲状腺機能に異常がある場合、甲状腺ホルモン薬を使用してホルモンバランスを調整します。薬物療法は、結節のサイズを小さくする効果は期待できませんが、ホルモンの過剰分泌による症状を抑えることができます。
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手術療法: 結節が悪性である場合、または良性でも大きくなって周囲の器官を圧迫し症状を引き起こしている場合には、手術が行われます。手術には、甲状腺部分切除と全摘出の2種類があり、結節の大きさや場所、がんの進行度に応じて選択されます。
当院では、これらの治療方針を患者様と共に検討し、必要な場合には他の医療機関をご紹介し、専門的な治療を受けられるようサポートいたします。
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当院での診断と治療の流れ
蒲田駅前やまだ内科 糖尿病・甲状腺クリニックでは、甲状腺結節の診断から治療まで、包括的な医療を提供しています。患者さん一人ひとりの症状や背景を考慮し、最適な治療プランを作成しています。
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初診時の診察と問診: 患者さんの症状や家族歴、既往歴などを詳しくお聞きし、触診やエコー検査を行います。必要に応じて血液検査も実施し、甲状腺の機能状態を確認します。
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詳しい検査の実施: エコー検査で結節が確認された場合、必要に応じて他の医療機関での細胞診や放射性ヨウ素スキャンの実施を検討し、紹介いたします。これにより、結節の性質を正確に診断し、適切な治療方針を決定します。
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治療方針の決定と説明: 検査結果に基づき、患者さんと一緒に治療方針を検討します。良性の場合は経過観察、悪性または症状がある場合は、手術や薬物療法などの具体的な治療法を提案します。
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治療後のフォローアップ: 他の医療機関で治療を受けられた後も、定期的なフォローアップを行い、治療効果を確認しながら必要に応じてアドバイスを行います。再発や新たな結節の発生を防ぐために、継続的な管理を行います。
当院では、患者様が安心して治療を受けられるよう、わかりやすい説明ときめ細やかなフォローアップを心がけています。甲状腺に関する不安や疑問がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
監修者プロフィール
院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)
山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。
資格・専門性
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
日本内科学会 総合内科専門医
豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患における最新の治療を提供しています。