糖尿病と旅行の際の注意点と対策について

旅行前の準備

糖尿病の方が旅行を楽しむためには、事前の準備が非常に重要です。まず、旅行先の気候や食文化、医療施設の情報を調べることが大切です。特にインスリンを使用している方や薬を服用している方は、十分な量の薬とそれに関する書類を準備する必要があります。また、旅行中に食事の時間が不規則になったり、食べ物の選択が難しくなることがありますので、血糖値の管理がしやすいように計画を立てましょう。

事前に準備するべきものとしては、以下のようなものがあります。

  • 医薬品と備品: インスリン、内服薬、グルコースタブレット、注射器、消毒アルコール綿、血糖測定器などを忘れずに準備しましょう。必要な場合は、予備の医薬品も持参します。
  • 医師の診断書: 海外旅行の場合、医薬品の持ち込みに関して、診断書や薬剤リストが求められることがあります。また、インスリンポンプやCGM(持続血糖測定器)を使用している場合、その使用許可に関する書類も必要です。
  • 保険の確認: 海外旅行保険には、糖尿病関連の治療費がカバーされるかどうか確認しましょう。緊急時のために、現地の病院や医療機関の情報も調べておくと安心です
  • \1分以内でわかる糖尿病生活Q&A④/

旅行中の血糖管理

旅行中は、日常と異なる環境や食事、運動の変化により、血糖値の管理が難しくなることがあります。特に、長時間の移動や時差がある地域への旅行では、インスリンの投与タイミングや食事の時間に注意が必要です。

  • 時差の対応: 飛行機で長時間移動する際や時差がある場所への旅行では、インスリンの投与時間を調整する必要があります。出発前に主治医と相談し、適切なタイムスケジュールを確認しておきましょう。
  • 食事の工夫: 旅行先の食文化に合わせた食事を楽しむのも旅行の醍醐味ですが、糖質の量や食べるタイミングに注意が必要です。レストランでは、低糖質のメニューや糖尿病に適した食事を提供しているかどうか確認しましょう。
  • 運動量の調整: 観光やアクティビティによっては、普段よりも多くのエネルギーを消費することがあります。運動量が増えると低血糖のリスクも高まるため、運動前後の血糖値を測定し、適切な対応を行いましょう。
  • 厚生労働省 - 糖尿病に関する情報
    日本糖尿病学会 -糖尿病について
    国立国際医療研究センター - 糖尿病について

旅行中の低血糖対策

低血糖は糖尿病患者にとって非常に危険な状態です。旅行中は食事や運動のタイミングが普段と異なるため、低血糖になるリスクが高まります。低血糖の兆候(手の震え、冷や汗、ふらつき、意識の低下など)を把握し、迅速に対応できるように準備しておくことが重要です。

  • グルコースタブレットやジュースの持参: 低血糖を感じた場合、速やかに吸収される炭水化物を摂取することが重要です。グルコースタブレット、飴、ジュースなどを持ち歩くようにしましょう。
  • 低血糖の対応方法を周囲に知らせる: 旅行中に一緒にいる人(家族や友人、ツアーガイドなど)に、低血糖の対処方法を事前に伝えておくと安心です。特に重度の低血糖時には、周囲の助けが必要になることがあります。

海外旅行での注意点

海外旅行では、国内とは異なる医療環境や言語の壁があり、糖尿病管理が一層難しくなることがあります。特にインスリンの保管方法や食事、緊急時の医療体制に注意が必要です。

  • インスリンの保管: 気温の高い地域では、インスリンが劣化しやすいため、クーラーバッグや保冷剤を使用して温度管理を行いましょう。飛行機での移動中は、インスリンを手荷物として持ち込み、温度変化に注意します。
  • 現地の医療機関の情報収集: 旅行前に、現地の病院や糖尿病専門医の情報を調べておくと安心です。緊急時にすぐに対応できるよう、滞在先の近くの医療機関を確認しておきましょう。
  • 言語の壁への対策: 緊急時に備え、糖尿病の治療や持病に関する情報を現地の言語で書いたメモを持参することをお勧めします。また、翻訳アプリや辞書なども用意しておくと、現地でのコミュニケーションがスムーズになります。

当院でのサポートとアドバイス

 

蒲田駅前やまだ内科 糖尿病・甲状腺クリニックでは、旅行を予定されている糖尿病患者さんへのサポートを行っています。出発前の健康チェックや、旅行中の血糖管理についてのアドバイス、インスリンの調整、予備の薬の処方など、さまざまなサポートを提供しています。

また、旅行中に持参すべき医薬品や医療書類、保険の確認などについても、詳細に説明いたします。患者さん一人ひとりに合わせたアドバイスを行い、安心して旅行を楽しめるようサポートいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。


監修者プロフィール
院長 山田 朋英 (Tomohide Yamada)
医学博士 (東京大学)

山田院長は、糖尿病・甲状腺・内分泌内科の専門医であり、東京大学で医学博士号を取得しています。東大病院での指導医としての経験や、マンチェスター大学、キングスカレッジロンドンでの客員教授としての国際的な研究経験を持ち、生まれ故郷の蒲田でクリニックを開院しました。

資格・専門性
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・研修指導医
日本内科学会 総合内科専門医
豊富な臨床と研究の経験を活かし、糖尿病や甲状腺疾患における最新の治療を提供しています。

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